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コラム

OpenRouterの無料モデル(:free)の使い方と制限

FastMetal

OpenRouterでは、モデルIDの末尾に :free を付けると課金なしでモデルを呼び出せます。 クレジットカードの登録も不要で、アカウントを作ればすぐ試せます。

ただし制限は明確に決まっており、クレジット未購入なら1日50リクエストが上限です。この記事では、無料モデルの制限・データの扱い・実際の使い方と、どこまでなら実用に耐えるかを整理します。

:free モデルとは

OpenRouterのモデル一覧には、通常版と :free 付きの版が並んでいるものがあります。

deepseek/deepseek-v4-flash        ← 有料(クレジットを消費)
deepseek/deepseek-v4-flash:free   ← 無料(クレジット不要)

無料版は、モデル提供元やスポンサーが負担している枠を、OpenRouterが利用者に開放しているものです。対象はDeepSeek系、Llama系、一部のGemini Flash系など、時期によって入れ替わります。どのモデルが無料かは固定ではないため、本番のモデル選定を :free の存在に依存させるのは危険です。

レート制限

公式ドキュメントで数値が明示されています。

条件制限
毎分(全アカウント共通)20リクエスト
1日(クレジット購入額 $10未満)50リクエスト
1日(クレジット購入額 $10以上)1,000リクエスト

ポイントが3つあります。

1分20回の上限は、いくら課金しても変わりません。 日次上限だけが$10の購入で20倍になります。この$10は「残高」ではなく「累計購入額」の話なので、一度$10チャージすれば、その後残高を使い切っても日次1,000回の枠は維持されます。

アカウントやキーを増やしても意味がありません。 ドキュメントには「複数のアカウントやAPIキーを作ってもレート制限には影響しない。容量はグローバルに管理している」と明記されています。

上流の提供元やCloudflareの制限も別にかかります。 OpenRouterの枠内でも、提供元側が混雑していれば失敗することがあります。無料枠は「空いていれば使える」性質のもので、可用性は保証されません。

レート制限に当たったときの挙動と対処はLLM APIのレートリミット(429)とはで解説しています。

データの扱い

無料モデルで最も注意すべきなのは、レート制限よりもデータポリシーです。

OpenRouterは提供元ごとに「送信されたデータを学習に使うか」のポリシーを公開しており、アカウント設定で学習に使う可能性のある提供元へのルーティングを許可するかどうかを、有料モデルと無料モデルで別々に指定できます。リクエスト単位でも provider.data_collectiondeny を指定できます。

{
  "model": "deepseek/deepseek-v4-flash:free",
  "messages": [{"role": "user", "content": "..."}],
  "provider": { "data_collection": "deny" }
}

無料枠を提供する提供元は、その対価としてデータの利用を条件にしている場合があります。業務データ・顧客データ・未公開のソースコードを無料モデルに投げるのは避けてください。 個人の学習や、公開情報だけを使った動作確認に向いています。

使い方

登録してキーを発行したら、モデルIDに :free を付けて呼ぶだけです。クレジットの購入は不要です。

curl https://openrouter.ai/api/v1/chat/completions \
  -H "Authorization: Bearer $OPENROUTER_API_KEY" \
  -H "Content-Type: application/json" \
  -d '{
    "model": "deepseek/deepseek-v4-flash:free",
    "messages": [
      {"role": "user", "content": "無料モデルの使いどころを3つ挙げて"}
    ]
  }'

現在どのモデルに無料版があるかは、OpenRouterのモデル一覧で :free で絞り込んで確認してください。

無料枠でできること・できないこと

1日50リクエストという数字を、具体的な用途に置き換えてみます。

向いている用途

  • APIの疎通確認、SDKの動作確認
  • プロンプトの試行錯誤(1日数十回で足りる範囲)
  • 個人の学習、技術記事の検証
  • モデルの出力傾向をざっと掴む

向かない用途

  • 本番アプリケーション(1分20回の上限に加え、可用性が保証されない)
  • エージェント/コーディングツール(1タスクで数十〜数百回呼ぶため、50回はすぐ尽きる)
  • 業務データを扱う処理(データポリシーの問題)
  • 継続的なバッチ処理や評価(Evalsは数百〜数千回の呼び出しになる)

特にClaude CodeやClineのようなツールを無料モデルで動かそうとすると、1タスクの途中で日次上限に達するのが実情です。無料枠は「試す」ためのもので、「動かし続ける」ためのものではありません。

無料枠の全体像とほかの選択肢は無料で使えるLLM APIまとめで比較しています。

FastMetalの無料モデルとの関係

正直に書いておくと、FastMetalの random-free モデルは、このOpenRouterの無料ルーターを経由しています。 上流が同じなので、無料である理由も、可用性が保証されない理由も同じです。

違いは呼び出し方だけです。FastMetalでは通常のモデルIDとして指定でき、有料モデルと同じキー・同じコードで切り替えられます。

from openai import OpenAI

client = OpenAI(
    api_key="<FASTMETAL_API_KEY>",
    base_url="https://api.fastmetal.ai/v1",
)

resp = client.chat.completions.create(
    model="random-free",
    max_tokens=200,
    messages=[{"role": "user", "content": "こんにちは"}],
)
print(resp.choices[0].message.content)

無料モデルで感触を掴んでから、同じコードのまま model を有料モデルに差し替える、という流れを想定しています。上流の無料枠を共有しているため、FastMetal側でもキーごとに毎分のリクエスト数に上限を設けています。用途は上と同じく「試す」範囲を想定してください。

よくある質問

Q. OpenRouterの無料モデルは1日何回使えますか? クレジット購入額が$10未満のアカウントは1日50リクエスト、$10以上を購入したことがあるアカウントは1日1,000リクエストです。毎分の上限は20リクエストで、こちらは購入額にかかわらず共通です。

Q. アカウントを複数作れば制限を回避できますか? できません。OpenRouterは「複数のアカウントやAPIキーを作ってもレート制限には影響しない」と明記しており、容量をグローバルに管理しています。

Q. 無料モデルに送ったデータは学習に使われますか? 提供元によります。OpenRouterは提供元ごとのデータポリシーを公開しており、学習に使う可能性のある提供元を避ける設定(provider.data_collectiondeny)も用意されています。業務データの送信は避けるのが安全です。

Q. 無料モデルを本番で使えますか? おすすめしません。1分20回・1日50回の制限に加え、無料枠の可用性は保証されておらず、どのモデルが無料であり続けるかも変わります。本番用途では有料モデルを選んでください。

まとめ

OpenRouterの :free モデルは、1分20回・1日50回($10以上の購入で日次1,000回)という枠内で、課金なしにモデルを試せる仕組みです。複数アカウントによる回避はできず、送信データが学習に使われる可能性もあるため、業務データには使わないでください。

無料で試したあと、同じコードのまま有料モデルへ移りたい場合は、FastMetalのモデルカタログ料金ページをご覧ください。円建て・プリペイドで、残高を超える請求は発生しません。

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