比較

FastMetalとセルフホストLLM(Ollamaなど)の比較

OllamaやvLLMでオープンウェイトのモデルを自社のGPUで動かす方法と、FastMetalのようなAPIゲートウェイは、そもそも解いている問題が少し違います。

ローカル運用の強みは、データが外に出ないことと、固定費で回せることです。ゲートウェイの強みは、最新のクローズドモデルを含む幅広い選択肢を、ハードウェアなしの従量課金で使えることです。両方を併用するチームも多くあります。

ひと目で比較

観点FastMetalセルフホストLLM
課金と請求円建ての従量課金。初期費用なしGPUの初期費用または時間貸し。推論そのものの従量課金はなし
API互換性OpenAI互換とAnthropic互換OllamaはOpenAI互換のエンドポイントを提供
モデルと提供元クローズドモデルを含む200以上オープンウェイトのモデルのみ
運用の手間運用は不要GPU、モデルの更新、スケーリングを自前で
表示言語とサポート日本語サポートOSSコミュニティ
データの流れリクエストは各提供元に中継されますデータは自社インフラの外に出ない

セルフホストLLMが向いているケース

  • データを社外に一切出せない要件がある場合。ローカル推論なら、リクエストは自社インフラの外に出ません。
  • 利用量が安定して多く、GPUの固定費の方が従量課金より安くつく場合。
  • オフライン環境で動かしたい場合や、レイテンシを物理的に近づけたい場合。

FastMetalが向いているケース

  • ClaudeやGPT、Geminiなど、クローズドな最上位モデルを使いたい場合。オープンウェイトだけでは届かない品質帯があります。
  • GPUの調達や運用を持ちたくない場合。試すのに必要なのはAPIキーだけです。
  • テキストに加えて、画像や動画の生成まで1つのAPIで使いたい場合。

コストの実際: 自前GPUとホスティングAPIの損益分岐

オープンウェイトモデルは、同じモデルをホスティングAPIで使うこともできます。そのため「ローカルで動かせば安いのか」は、ホスティングの単価と、自前GPUをどれだけ使い続けられるかの比較で決まります。

下のグラフは、100Bクラスのオープンウェイトモデルを、H100 1台の自社サーバーで運用する場合と、同じクラスのモデルをホスティングAPIで使う場合の月間コストの例です。前提は2026年8月時点の実勢の概算で、人件費は含みません。

月間コストの比較(例)
自前H100(購入+電力)ホスティングAPI(標準)ホスティングAPI(最安級)
020万円40万円60万円050億100億150億200億月間トークン月間コストH100 1台の実効上限標準最安級自前H100損益分岐 約57億/月損益分岐 約57億/月
標準的なホスティング単価との損益分岐は、月およそ57億トークン。H100 1台の実効上限(約200億トークン/月)の3割近くを、毎月使い続ける水準です。最安級の単価に対しては、1台構成では上限まで使っても逆転しません。
実効単価は稼働率で決まる
自前H100(購入+電力)ホスティングAPI(標準)ホスティングAPI(最安級)
0¥50¥100¥1505%25%50%75%100%実効稼働率実効単価(円/100万トークン)自前H100標準最安級約27%で標準単価と並ぶ約27%で標準単価と並ぶ
自前GPUの100万トークンあたりの実効単価は、稼働率にほぼ反比例します。稼働率10%では約82円、100%でも約8円。ホスティング事業者は多くの利用者のリクエストをまとめ、高い稼働率でGPUを回すため、単価がハードウェアの下限に近づきます。

前提(2026年8月時点の概算)

  • 自社サーバー: H100 1台構成を約500万円で購入し3年償却、電力等を含めて月額約17万円。人件費は含みません
  • スループット: バッチ推論で合計約8,000トークン/秒、月間上限は約200億トークン(稼働率100%時)
  • ホスティング単価: 同クラスのオープンウェイトモデルの実勢で、標準を100万トークンあたり約30円、最安級を約8円とした入出力込みの概算
  • 為替: 1ドル150円
  • 自社サーバー側には、この他に運用・保守の人件費がかかります。実際の総コストはGPU費用の3〜5倍になるという調査報告もあります

つまり、コストだけを理由にローカル運用を選ぶには、GPUが高い稼働率で回り続ける確かな見込みが必要です。バーストのある開発用途や、日中しか使わない社内ツールでは、ホスティングの方が安くつくことがほとんどです。

逆に、データを外に出せない、オフラインで動かす、固定予算で運用するといった理由があるなら、稼働率に関係なくローカル運用には価値があります。上に書いた通り、これは二者択一ではありません。

開発はローカルの小型モデル、本番や品質検証はゲートウェイ経由の上位モデル、という併用は現実的な構成です。どちらかを選ばなければいけないものではありません。

この比較は2026年8月時点の情報に基づきます。

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