OpenRouterとは?料金・手数料・使い方を日本の開発者向けに解説
OpenRouterとは、1つのAPIキーと1つのエンドポイントで、OpenAI・Anthropic・Google・オープンモデルなど多数のAIモデルを呼び出せる「LLM APIゲートウェイ」です。 2026年8月時点で80以上の提供元・400以上のモデルを扱っており、Claude CodeやClineといった開発ツールの接続先としても定番になっています。同月にはStripeによる買収が発表され、注目度がさらに上がりました。
この記事では、OpenRouterの仕組み、手数料を含めた料金、無料モデルの制限、実際の使い方を整理したうえで、ドル建て決済・為替・請求書といった日本のチームが実務で気にする点まで解説します。
OpenRouterとは
OpenRouterは、アプリケーションと各AIプロバイダーの間に立つ中間層です。利用者はOpenRouterのキーを1つ持ち、model の値を変えるだけで別の提供元のモデルに切り替えられます。契約・支払い・レート制限の管理を、提供元ごとではなくOpenRouter1か所にまとめられるのが最大の利点です。
APIの形式はOpenAI互換のChat Completionsです。OpenAIのSDKで書いたコードは、接続先のURLとキーを差し替えるだけで動きます。
主な特徴をまとめます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対応モデル | 80以上の提供元、400以上のモデル(フロンティア・オープンモデル両方) |
| API形式 | OpenAI互換(Chat Completions) |
| 課金 | ドル建てのプリペイド。クレジットを購入して使った分だけ消費 |
| 手数料 | クレジット購入時に5.5%(カード決済、最低$0.80)。暗号資産は5% |
| 無料モデル | :free が付くモデルは無料。ただし1日あたりのリクエスト数に上限 |
| BYOK | 自分の提供元キーを持ち込む方式にも対応 |
OpenRouterの料金と手数料
OpenRouterの料金は「モデルの単価 + プラットフォーム手数料」で決まります。
モデル単価はパススルー
推論そのものの単価は、各提供元の価格がそのまま適用されます。つまりClaudeをOpenRouter経由で呼んでも、Anthropicと直接契約しても、トークン単価は基本的に同じです。
手数料は「購入時」にかかる
OpenRouterの収益源は、クレジット購入時のプラットフォーム手数料です。公式ドキュメントでは次のように定められています。
- カード決済:5.5%(最低$0.80)
- 暗号資産(USDC):5%
- BYOK:月$25,000までの利用は手数料なし、それを超える分に5%
たとえば$20分のクレジットを買うと、手数料$1.10を加えた $21.10 が決済されます。
クレジットの有効期限と返金
見落としやすい条件が2つあります。
- 未使用クレジットは購入から1年で失効する場合があると規約に明記されています
- 返金は購入から24時間以内の未使用分に限られます。手数料は返金対象外です
「とりあえず多めに入れておく」使い方は、失効のリスクがある点に注意してください。
日本のチームが気にする点
ここからが、海外の解説記事にはあまり書かれていない部分です。OpenRouterは米国のサービスで、すべてドル建てです。日本から使う場合、次の3点が実務上の論点になります。
1. 為替とカードの海外事務手数料
決済はドルで行われるため、円換算額は為替レートで毎回変わります。さらに日本のクレジットカードでドル決済すると、カード会社の海外事務手数料(一般に1.6〜2.2%程度、各社の規約による)が上乗せされます。
先ほどの$20の例で計算してみます。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 購入するクレジット | $20.00 |
| プラットフォーム手数料 5.5% | $1.10 |
| 決済額 | $21.10 |
| 1ドル160.08円で換算 | 約3,378円 |
| 海外事務手数料 2%(カード会社による) | 約68円 |
| 実質の支払額 | 約3,446円 |
$20分の推論(額面で約3,202円)を使うために、実際には約3,446円を支払う計算です。差額は約7.6%。少額なら気にならなくても、月に数万円〜数十万円規模になると無視できない差になります。しかも為替が動けば、この円換算額は毎回変わります。
さらに、手数料には最低$0.80という下限があります。$5だけチャージすると手数料率は実質16%になるため、小額を何度もチャージする使い方は不利です。詳しい計算はOpenRouterの実質コストの記事にまとめました。
2. 請求書と経理処理
OpenRouterが発行するのはドル建ての領収書で、日本のインボイス制度(適格請求書)の様式ではありません。法人で経費計上する場合、円換算の根拠や消費税の扱いについて経理担当者や税理士に確認しておくと安心です。
3. サポートは英語
ドキュメント・サポートともに英語です。開発者にとっては大きな障壁ではありませんが、経理や法務が関わる場面では手間になることがあります。
これらを理由に「円建てで請求書が出るゲートウェイ」を選ぶチームもあります。違いの整理はFastMetalとOpenRouterの比較を参照してください。
無料モデルの使い方と制限
OpenRouterには、モデルIDの末尾に :free が付く無料モデルがあります。DeepSeekやLlama、Gemini Flash系のモデルなどが対象で、クレジットを購入しなくても使えます。
ただし、レート制限は明確に決まっています。
| 条件 | 制限 |
|---|---|
| 毎分 | 20リクエスト |
| 1日(クレジット購入額$10未満) | 50リクエスト |
| 1日(クレジット購入額$10以上) | 1,000リクエスト |
複数アカウントやキーを作っても制限は変わらない、と公式に明記されています。また無料モデルの一部は、送ったデータが学習に使われる場合があります。業務データを扱う場合は、無料モデルの利用規約を確認してください。
無料枠の全体像は無料で使えるLLM APIまとめで比較しています。
OpenRouterの使い方
登録から最初のリクエストまでは3ステップです。
- openrouter.ai にGoogleまたはGitHubアカウントで登録する
- ダッシュボードの「Keys」でAPIキーを発行する
- クレジットを購入する(無料モデルだけなら不要)
エンドポイントは https://openrouter.ai/api/v1 です。curlならこのように呼び出します。
curl https://openrouter.ai/api/v1/chat/completions \
-H "Authorization: Bearer $OPENROUTER_API_KEY" \
-H "Content-Type: application/json" \
-d '{
"model": "anthropic/claude-haiku-4.5",
"messages": [
{"role": "user", "content": "OpenRouterを一文で説明して"}
]
}'
モデルIDは 提供元/モデル名 の形式です。無料モデルを使う場合は末尾に :free を付けます。
同じコードをFastMetalで動かす
OpenAI互換のゲートウェイ同士なら、コードは共通です。FastMetalに切り替える場合は base_url と model の2か所を変えるだけで、円建て・プリペイドで同じモデルを呼び出せます。
from openai import OpenAI
client = OpenAI(
api_key="<FASTMETAL_API_KEY>",
base_url="https://api.fastmetal.ai/v1",
)
resp = client.chat.completions.create(
model="anthropic-claude-haiku-4-5",
max_tokens=200,
messages=[
{"role": "user", "content": "OpenRouterを一文で説明して"},
],
)
print(resp.choices[0].message.content)
FastMetalの場合、モデルIDは anthropic-claude-haiku-4-5 のようにスラッシュなしの形式です。対応モデルと円建ての単価はモデルカタログで確認できます。
よくある質問
Q. OpenRouterは無料で使えますか?
:free が付くモデルはクレジットなしで使えます。ただしクレジット購入額が$10未満のアカウントは1日50リクエストが上限です。有料モデルはクレジットの購入が必要です。
Q. OpenRouterの手数料はいくらですか? クレジット購入時に5.5%(カード決済、最低$0.80)がかかります。暗号資産での支払いは5%です。推論の単価自体は各提供元の価格がそのまま適用されます。
Q. 日本円で支払えますか? いいえ。決済はドル建てです。日本のカードで支払う場合は、為替レートに加えてカード会社の海外事務手数料がかかります。円建てで使いたい場合は、円建て請求に対応したゲートウェイを検討してください。
Q. Stripeの買収で何か変わりますか? OpenRouterは「製品もロードマップも変わらない」と表明しています。詳しくはStripeによるOpenRouter買収の解説を参照してください。
まとめ
OpenRouterは、1つのキーで400以上のモデルを扱える、最も広く使われているLLM APIゲートウェイの一つです。料金は「モデル単価のパススルー + 購入時5.5%の手数料」で、無料モデルには1日50リクエストの上限があります。日本から使う場合は、ドル建て決済による為替と海外事務手数料、そして請求書の様式が実務上の論点になります。
複数のモデルを円建て・プリペイドで使いたい場合は、FastMetalのモデルカタログと料金ページをご覧ください。同じOpenAI互換のコードがそのまま動きます。