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コラム

OpenRouterの代替サービス比較2026:7つの選択肢と選び方

FastMetal

OpenRouterの代替を探すとき、最初に切り分けるべきなのは「推論そのものを売っているか」「自分の契約したキーを通すだけか」です。 この2つは同じ「AIゲートウェイ」と呼ばれますが、解決する問題がまったく違います。

比較記事の多くはこれを混ぜて並べているため、「安い」と紹介されたサービスが、実は自分でOpenAIやAnthropicと契約する前提だった、ということが起こります。この記事では2つの軸で整理してから、7つの選択肢を比べます。

まず2つの軸で切り分ける

軸1:推論を売るか、通すだけか

  • リセール型 — ゲートウェイがモデル提供元との契約を持ち、利用者はゲートウェイに支払います。契約先が1つで済むのが利点。OpenRouter、Vercel AI Gateway、FastMetalなど
  • BYOK型 — 利用者が各提供元と契約し、ゲートウェイはその手前で観測・制御だけを行います。安いが、契約と請求書の管理は提供元の数だけ残ります。Cloudflare AI Gateway、Portkeyなど

「手数料0%」をうたうサービスの多くはBYOK型です。 推論を売っていないので当然ですが、「1つの契約にまとめたい」という動機で探しているなら答えになりません。

軸2:マネージドか、セルフホストか

セルフホスト(LiteLLMなど)は手数料がかからず制御も自由ですが、可用性・アップデート・障害対応を自分たちで持つことになります。

7つの選択肢

サービス課金特徴
OpenRouterリセールクレジット購入時5.5%(最低$0.80)、ドル建て対応モデル数が最多クラス。2026年8月にStripeが買収
LiteLLMセルフホストOSS(無料)。エンタープライズ版あり100以上のプロバイダーをOpenAI互換で統合。自社運用
Vercel AI Gatewayリセールトークンへのマークアップ・プラットフォーム手数料なし提供元の定価。BYOKも手数料なし。Vercel基盤との統合
Cloudflare AI GatewayBYOK全プランで利用可能キャッシュ・レート制限・フォールバックなど観測と制御が中心
PortkeyBYOK無料枠(月1万ログ)/$49〜/エンタープライズ可観測性とガバナンスが主眼。OSS版・自社VPC配備あり
Requesty / OrcaRouterリセール(各社公称)低マークアップを標榜買収を受けて「中立なルーター」を掲げる新興勢
FastMetalリセール円建てプリペイド日本のチーム向け。円建て請求と適格請求書

数値と方針は各社の公式ドキュメントの記載に基づきます。料金体系は変わるので、検討時には必ず原典を確認してください。

用途別の選び方

モデルの幅を最優先するなら → OpenRouter

400以上のモデルを1つのキーで扱える点は依然として最大の強みです。新しいモデルが追加される速度も速く、「出たばかりのモデルをすぐ触りたい」なら現実的な第一候補です。

手数料をゼロに近づけたいなら → Vercel AI Gateway か BYOK

Vercel AI Gatewayは「トークンにマークアップもプラットフォーム手数料もかけない」と明記しており、BYOKでも手数料はかかりません。ただし決済処理手数料は利用者負担で、タグ付けレポートやZDRなど一部の機能は別課金です。

すでにOpenAIやAnthropicと直接契約していて、観測と制御だけが欲しいなら、CloudflareやPortkeyのBYOK型が合理的です。

自社で完全に制御したいなら → LiteLLM

OSSのゲートウェイをセルフホストする選択です。100以上のプロバイダーをOpenAI互換の1つのインターフェースで扱え、手数料はかかりません。代わりに運用の責任を持ちます。データを外部のゲートウェイに通せない要件があるなら、これが答えになります。

余談ですが、FastMetal自身もLiteLLMを基盤に構築しています。セルフホストの手間を引き受けたくないが同じ設計思想で使いたい、という位置づけです。

可観測性とガバナンスが主目的なら → Portkey

ログ・メトリクス・キー管理・アクセス制御が中心の設計です。無料枠は月1万ログ、本番向けは月$49から。ログの保持期間やコンプライアンス要件で選ぶサービスです。

円建て・請求書・日本語対応が要件なら → FastMetal

海外のゲートウェイはほぼすべてドル建てです。ドル決済では為替に加えてカード会社の海外事務手数料がかかり、発行される領収書は日本の適格請求書の様式ではありません(実質コストの計算はこちら)。

FastMetalはこの点に絞って設計しています。

  • 円建てでの請求。為替も海外事務手数料も発生しません
  • プリペイドで、チャージした残高を超える請求は出ません
  • OpenAI互換なので、移行は base_urlmodel の変更だけです
from openai import OpenAI

client = OpenAI(
    api_key="<FASTMETAL_API_KEY>",
    base_url="https://api.fastmetal.ai/v1",
)

resp = client.chat.completions.create(
    model="glm-5.2",
    max_tokens=300,
    messages=[{"role": "user", "content": "AIゲートウェイを選ぶ基準を3つ挙げて"}],
)
print(resp.choices[0].message.content)

対応モデルはモデルカタログ、移行手順はOpenRouterからの移行ガイドにまとめています。

乗り換えコストを下げておく

どれを選ぶにしても、いちばん効くのは特定のゲートウェイに固有の機能へ依存しないことです。

OpenAI互換のChat Completions形式だけで書いておけば、接続先の変更は base_urlmodel の2か所で済みます。逆に、ルーティング指定やプロバイダー選択のような固有パラメータをアプリ側に埋め込むほど、乗り換えは重くなります。

固有機能を使うなら、設定ファイルや環境変数に切り出して、コードから消しておくのが現実的な保険です。

よくある質問

Q. OpenRouterの代替でいちばん安いのはどれですか? 条件によります。BYOK型(自分で提供元と契約する)なら手数料はほぼゼロですが、契約と請求書の管理が提供元の数だけ残ります。1契約にまとめたいなら、手数料と管理コストのどちらを取るかの判断になります。

Q. 「マークアップ0%」は本当に無料ということですか? 推論の単価に上乗せがない、という意味です。決済処理手数料や、機能ごとの追加課金は別にかかる場合があります。また自分で提供元と契約する前提のサービスもあるため、課金モデルを先に確認してください。

Q. セルフホストは現実的ですか? LiteLLMのようなOSSゲートウェイは十分に成熟していますが、可用性とアップデートの責任は自社に移ります。データを外部に出せない要件があるなら有力ですが、そうでなければ運用コストに見合うか検討してください。

Q. StripeによるOpenRouter買収を理由に乗り換えるべきですか? OpenRouterは「製品もロードマップも変わらない」と表明しており、今すぐ動く理由はありません。詳しくは買収の解説記事を参照してください。

まとめ

OpenRouterの代替を比べるときは、推論を売っているか(リセール型かBYOK型か)マネージドかセルフホストかの2軸で切り分けると、選択肢が整理できます。「手数料0%」の多くはBYOK型で、契約をまとめたいという動機には答えません。

モデルの幅ならOpenRouter、手数料の低さならVercelやBYOK型、完全な制御ならLiteLLM、円建てと請求書ならFastMetal——という住み分けが現実的です。ゲートウェイ全般の選び方はLLM APIゲートウェイの選び方、円建ての選択肢はFastMetalとOpenRouterの比較もあわせてご覧ください。

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